去る年3月10日(火)の午後3時から5時半にかけて、佐賀県のサンメッセ鳥栖において当会九州地区が主催し、「『チベットに平和を!』犠牲者追悼の集い」が開催された。九州地区幹事並びに協力スタッフ20名も含む約80名が参加した。
集いでは、ダライ・ラマ法王メッセージの代読に続いて犠牲者追悼法要を営み、中国民主化運動に取り組む王進忠氏によるゲスト・スピーチ、映画「ヒマラヤを越える子供たち」上映と当会特別顧問である無着成恭師による基調講演が行われた。
王進忠氏はチベット問題の解決には中国の民主化が必要であり、現在の共産党では困難であること、文化大革命によって失われた仏教等の宗教と宗教心がこれからの中国にとって必要であるとともに、その実現に日本仏教の使命があるとの考えを語った。
▲ゲストスピーカーの王進忠氏
無着成恭師による基調講演は、様々な政治体制や価値観があってよいが、問題は国民への再分配の在り方にあるとの指摘に始まった。興味深いのは、「デキル」人と「ワカル」人の違いから胡錦濤総書記を「デキル」人、ダライ・ラマ法王を「ワカル」人ととらえ、後者の「ワカル人」こそ宗教者のあるべき姿であり、宗教心を持つことの重要性の指摘であった。ここから、日本の教育の根本的な問題点の指摘や、今日の世界に広がっているアメリカ型の資本制経済の根本的な間違いにも話題は及び、聴衆に発想の転換、当会の活動の方向性にヒントを与えるものであった。
▲熱心に語る無着成恭師
一連の予定終了後には、久留米チベット文化交流会の方々とのキャンドルの夕べが行われた。
チベット問題は長期化が予想され、この「3・10」イベントは今後も毎年開催するものになると考えられるので、より参加しやすい企画・方法を検討していきたい。
今回の企画のように、当会(日本の僧侶・寺院)が、チベット問題に対する社会活動の場を提供したことの意義は大きい。参加者数は少なかったものの、チベット問題に関心のある方々が集まられた為、参加者相互の意思疎通は順調且つ有意義であった。また諸NGOとの協力開催により、ネットワーク力の必要性を確認できた。
また、王進忠氏のスピーチの指摘にあったように、チベット問題には中国人参加者の存在意義が重要性を増していくものと思われる。在日の中国人が年々増加している日本に於いて、どのようにして中国人の参加者を交えていくことができるのか? これは、ダライ・ラマ法王とチベット亡命政府の方策と連関する問題であり、当会としても喫緊の課題となるものと思われる。