令和4年3月13日(日)、スーパーサンガ関西では大阪市内の寺院において【チベットを知り、祈ろう@大阪2022】を昨年と同様、無観客で開催し、YouTubeでライブ配信を行いました。

スーパーサンガ関西では2009年以来、毎年3月10日の『チベット民族蜂起記念日』にちなみピースウォークや講演会、映画上映会などの取り組みを行なってきましたが、本年も新型コロナウイルス感染症の状況に鑑み、当会の僧侶によるチベットの平和祈願と犠牲者の慰霊、また同時に世界各地での戦争の終結を祈り犠牲者の慰霊のための法要を厳修しました。疫病、戦争とますます混迷を極める世界情勢ですが、好転を祈るばかりです。

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大樹代表による挨拶・全文

法要に際して挨拶を行う大樹玄承代表

皆様こんにちは。今年も大阪のメンバーが集まることができて本当に良かったと思います。恒例で当たり前のような行事に感じるかもしれませんが、これを続けていけるということが私達の支えでもあります。今年も北京で冬季五輪がありましたが、2008年の夏季五輪に際しては、チベットの旗が各国で振られ、フリーチベットを叫ぶ人たちが聖火リレーと伴走することで、中国に五輪を開催する資格があるのかということを多くの人に訴えかけました。今年の2月4日、冬季五輪の開会式の日にはスーパーサンガの東京のメンバーたちが抗議活動を行い、抗議文を中国大使館に投函しております。昨年の12月、カム地方のダンゴ(ドラクゴ)における仏像の破壊、仏教学院の取り壊しなどが相次いでおりますが、そのような宗教弾圧は、中国共産党が「農奴を開放する」という美名のもとにチベットに侵攻していった当時と変わることなく、ノルマのようにずっと続いていることです。当時2008年という北京五輪が行われた年は、ようやく携帯電話でインターネットに接続して画像や動画を送るなど、個人での世界発信が可能になり、海外にチベット国内の現状が知れ渡った年でした。これで世界中の人々が驚き、腰を上げることになりました。

中国共産党がチベットに侵攻して、1959年にダライ・ラマ法王がポタラ宮を離れ、亡命されることになりました。中国共産党のパーティーに法王様が出席しないように民衆が防ぎ、その騒ぎの中、法王様はわずかな側近と宮殿を出られて、ヒマラヤを越えインドに逃れるきっかけとなった日です。それが3月の10日で、例年3月10日の民族蜂起記念日はチベット人にとって大事な日で、象徴であるダライラマ法王が本来いらっしゃるべき場所を離れられたという、なんとも悲しむべき日でもあります。それから毎年3月10日には亡命した人たち、チベット国内においても色んな集会や抗議活動が行われてきました。1985年頃にも中国政府による大きな弾圧がありましたが、なかなかそれらが世界に瞬時に伝わることがありませんでした。2008年頃になり、ようやくそういったことが、(インターネット発信によって)少しずつ明るみに出ました。その年から我々は有志を集め当会を結成して、チベット問題を啓発し広めていくという活動を続けております。

法要のライブ配信は2年目となる。

中国共産党は仏教・宗教を麻薬・毒のように否定しているわけですが、要はチベット仏教を潰そうとしているわけです。それと、漢民族中心の社会で少数民族を追いやっていこうとする構図であります。全人代のオープニングや五輪の開会式の映像を見ると、大きな会場にたくさんの人が並ぶ最前列に各少数民族の衣装を着た人たちがいて「少数民族を差別していない。宗教差別もない」と共産党はアピールしていますが、実態はそうではなく、チベットの仏教や文化は消えようとしています。中国は宗教を毒・麻薬と言いますが、外の世界に向けては違った態度を取っています。また、宗教・仏教は人の心の成長や、物事を考えることにおいて大きな役目を果たしていることは十分理解しているようです。ですから、中国共産党は対外的に仏教、仏教徒を非常にうまく利用して、海外の僧侶や経験者を中国に招いて厚遇を与えたりしています。仏教の源流を探っていけば、インドのナーランダ僧院に行き着きます。ナーランダ僧院から世界中に仏教が広まったと言われておりますが、そこから直接教えが伝わった地がチベットです。さきほど般若心経を唱えましたが、般若心経は元々、三蔵法師と呼ばれる訳経僧(翻訳者)たちが漢文に訳したものが日本に伝わりました。その翻訳したのは一人ではなく、何人もの方が翻訳し、その中で最も流布したテキストが日本に伝わっています。現在、私達が英文から日本語に翻訳された本を読むにしても、人によって少しずつ翻訳が違います。それと同じように、漢訳の経典には翻訳者によって差異があります。その翻訳の正しい・正しくないということではなく、どのような意図でそう訳されたのか?と学問が進むと、サンスクリット語から厳密に翻訳されたチベット語訳の経典は非常に重要になります。インドを目指した中国における三蔵法師のように日本からも近代になってからチベットを目指す宗教者がいました。勇気と探求力を持って古い経典を探る学問の真髄です。現在、そのチベットの経典なり学問書を握っているのは中国共産党であり、その中国共産党と直接的に関わっている日中仏教交流協会などの会員は各宗派の偉い方々です。その下に学問を極めようとする真面目な学僧や学者さんがいて、そういう方の道を、日本の公式の宗教団体、全日本仏教会だとか世界仏教徒連盟などの代表者が中国政府の方針に異議を唱えると、報復によって学問の道が閉ざされるのではないかという恐れがあります。

導師は上田尚道幹事が務めた。

当会の結成は、チベットの危機に対して、中国政府の圧力によって財界も動かない、宗教界も動けなかったというのがその元です。動かなかったのはそれだけではなく、日本の人権団体、人道主義を叫んでいる人たちも2008年からこのことに対しては何も動いていません。そのような中で、私達の行動もこれまでどれほど役に立ったかは疑問ですが、チベットがこのような苦境に置かれていることを一人でも多くの方に伝えてご理解いただくということを活動の旨としております。今でも続いている寺院の破壊、仏像の破壊を含める人権問題に抗議し、チベットの平和を求めている会です。そういった活動に連帯していただける団体や個人が少しでも広がっていくように願っているわけです。本日はどうもありがとうございました。

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