中国政府によるチベット僧院弾圧を非難する声明

日本国内の仏教各宗派の僧侶、信徒によっては構成される「宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会」は、3月16日のンガバの青年僧侶の焼身自殺を機に強化された中国政府による同地域の僧侶及び住民監視と弾圧により、この8月以降続発している青年僧侶及び元僧侶の焼身自殺を深く憂慮し、僧侶たちを決死の行動に駆り立てる、中国政府による弾圧、ことに現在、東チベット(中国名:四川省)のアムド、ンガバ地区のチベット人と、同地区にあるキルティ僧院の僧侶達への継続的弾圧に対し非難を表明します。

僧侶及び元僧侶の焼身による訴えは、このわずか半年の間に少なくとも7人に上ります。彼らは生命を賭して何を訴えようとしたのでしょうか。生命を投げ打って伝えたかったことはいったい何でしょうか。我々は彼らの行為に目を凝らし、その叫びに耳を澄まさなくてはなりません。

中国政府は「開発によってチベットは豊かになりチベット人は幸福になった」と盛んに訴えていますが、幸福になった人々が自分の肉体に火を放って何を訴えるというのでしょう。圧政に対するマイノリティーの中には、テロをもって自分たちの窮状を国際社会に訴えることがありますが、敬虔なる仏教徒であるチベット人は、仏陀の不殺生の教えと、ダライ・ラマ法王14世の非暴力の教えに従って決してテロリズムに走りません。そもそも彼らチベット人は、武力の囲いの中に閉じ込められ、自分たちの窮状を国際社会に訴える手段とてないのです。そんなチベット人たちにとって、焼身自殺とは、国際社会から忘れられまいとする彼らに残された一縷の抗議行動であり、その過激な行動が20歳にも満たない若者によって続行されている事実は、チベット人たちが追いつめられている深刻な現状を表しているのです。

この危機的状況は、3月16日の青年僧の焼身自殺を機に強化された弾圧によるもので、現在チベット人たちの暮らしは監視され、多数の人々が連行され拘束状態にあり、一般市民も自由が著しく制限され、とりわけ僧院は厳しい監視下に置かれて食料も制限された過酷な状況下にあって、僧侶たちには敬愛するダライ・ラマ法王を批判する”愛国再教育”が続けられています。

我々「宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会」は、日本国政府および各国政府に対し、この深刻な危機に関し遺憾の意を表明するとともに、中国政府の指導者に対し、次の通り要求します。

  1. 焼身自殺をはかった僧侶たちの状況を公表し、拘束者を釈放すること。
  2. ンガバの人々への弾圧を即刻停止すること。
  3. キルティ僧院から武装警察・軍隊を直ちに撤退させること。
  4. チベット人の信仰や僧侶の伝統的な修行に一切干渉しないこと。
  5. 該当地域をはじめ、チベット全土に中立な国際メディアの取材や国際人権団体の調査を認めること。

我々は、中国政府に対し、このような自己犠牲による徹底抗議を生み出すチベット政策を直ちに改め、チベットの宗教、文化、言語を守るよう求めます。そして、日本国政府をはじめ、各国政府に対して、中国政府のこのような非人道的な政策を改めるよう働きかけることを強く求めます。

宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会