このコーナーでは、チベットに関する豆知識をわかるやすくお知らせします

「パンダはチベットの動物だ!」という言葉を聞いた事がありますが、チベット人に「チベットを象徴する動物は何?」と聞くと誰もが「ヤク!」と答えるはずです。
ヤクは“高原の船”と言われるほど空気が薄く寒さの厳しいチベットで運搬を担ってきた家畜です。またその肉やミルク、バターそして革、毛と余すことなく利用されてきました。
ヤクは大きな体の割に身のこなしが軽く毛が長いので観察していると巨大な犬のようです。脱糞する時には少し腰を落として尻尾を上げてボトボトと巨大な糞を落とすので犬そっくり。この糞ですが樹木が少ないチベットでは貴重な燃料であり、今でも乾燥したものを拾い集めて燃料にしています。
一方、日本でも大昔からヤクの毛を輸入していました。僧侶が使う払子はヤクの尻尾です。幕末には新政府軍が被っていた赤白黒の毛の長い帽子は江戸城から接収したヤクの毛です。最近ではヤクの毛を使ったコートやショールが売られており着心地が良く快適らしいですが、干し肉、バター、糞は未だ輸入される気配が無いのが残念です。
(文/風来坊氏)