フォーラム二日目において、日本仏教団はダライ・ラマ法王様が泊まられているチベット僧院に伺い、謁見する機会を頂戴した。待合室でしばし待機すると、順にお呼びいただき、日本団全員の手を持って直々に謁見させて頂いた。謁見させていただいただけではなく、日本団だけに対してご法話も頂いた。
「現代人にとって宗教は、あまりいいものとして捉えられていない傾向がある。信仰という観点ではなく、科学や哲学的な観点から仏教というものの良さを、現代人には説いていく必要がある」というお話をいただいた。正に時宜に合致するお話であり、日本仏教団への激励の言葉して有り難く拝受した。
日本団のメンバーの中には、謁見して涙するくらい喜ばれた方もいらっしゃったくらいの至福の時間であった。
今までの壮絶なご人生を歩まれてきたとは思えないくらいの、慈悲に満ちた微笑とお言葉はいつも私たちを導き照らしてくださる存在であることを再確認させて頂いた時間であった。八十八歳となられるダライ・ラマ法王様の益々の延年転寿を祈り申し上げ、慈しみに満たされた時間と空間を過ごし、一同はチベット僧院を後にしたのであった。
今回は多くのチベット僧侶の参加もあり、チベット仏教の躍動を感じることもできたフォーラムであった。チベット僧侶は世界各地で大いに活躍し、興隆し、多くの僧侶が輩出されていることも確認できた。しかし、母なる大地であるチベットに帰ることも許されず、分断されてしまったチベット人の心の穴は想像を絶するものであろう。
そんな中で、彼らの支柱となっているものは仏教であり、仏教こそが彼らの逞しさであるとも感じたのであった。そして、スーパーサンガとしても、日本仏教としても、チベットを支援する最大の方法は「交流」であるということを再確認した大会でもあった。ダライ・ラマ法王様が提唱している、サンスクリット/パーリという世界仏教の再編成は、これから益々促進されていくことであろう。世界仏教の交流が加速度的に活発になることも予想される。今回のフォーラムは、正に仏教史における革新的なフォーラムになった。この動きは、アジアのみならず世界中に波及されることが予想される。そして、その中において日本仏教がしっかりと交流の礎を築けているかが、チベット支援にとっても肝要になってくるであろう。パーリ語圏との交流も勿論であるが、同じサンスクリット語圏である日本仏教とチベット仏教の交流を更に活発にすることは、日本仏教の未来においても大きな財産となり、大きな進展を遂げる契機になることであろう。そして、仏教における日本とチベットという強いパートナーシップを持つことによって、チベット復権においても大きな役割を担っていくことであることが予想される。
その為にも、草の根的な活動と国際的な交流の二本柱を支柱として、交流活動を続けていく必要があるだろう。
末筆ながらダライ・ラマ法王日本代表事務所をはじめ、誠に光栄なる機会を頂戴できたことを深謝申し上げ、一層の交流と精進を誓願申し上げる次第である。