スーパーサンガ会報誌、平成二十六(2014)年冬号より、四方僧伽代表・上川泰憲氏のコラムをご紹介いたします。

四方僧伽とチベット

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 四方僧伽とは「世界の人々が、ほんらい和合するつどい(サンガ)である」とのお釈迦様の根本の教えに由来しています。しかし、その教えとは裏腹に、世界の実情は、対立や騒乱、戦争、自然環境の破壊、貧富格差の拡大、人権の抑圧、そして人間精神の崩壊など、日を追うごとに悪化の一途をたどっています。この状況を憂い、今、世界の仏教徒たちが宗派の違いを乗り越え、互いに手をたずさえ、悲しみと絶望を希望に変え、人類の真の和合をこの世に顕現しようとしています。
 四方僧伽は当会幹事でもあります「井本勝幸」氏が二〇〇三年に結成された運動体です。活動内容は大きく三つの柱からなっています。

  • 緊急支援活動 サイクロンや洪水などの災害、戦争や内乱によって命の危険が脅かされている人々に対して、仏教徒を中心とした緻密なネットワークを通して、確実に緊急支援物資を届ける体制が整っています。(仏教徒パイプライン)
  • ライフラインプロジェクト 破壊されたコミュニティーに生きる為に必要最低限の復興支援を行うことで、人間が本来具わっている自活力と自立力を引き出すプロジェクトです。(仏陀の池・米銀行・井戸建設・牛銀行・仏陀バンク・適正技術開発など)
  • 世界同時平和法要 年に一度、四方僧伽運動に参画する仏教徒が集い、戦争や自然災害で亡くなられた諸霊への追善供養と、世界平和への祈りを捧げています。また、参加者全員による話し合い(ワークショップ)によって、必要なプロジェクトの立案、検討、決定を行っています。

 以上、四方僧伽が行っている活動内容を書きましたが、この活動の最大の魅力は、現地の仏教徒と直接の触れ合えるところにあるのです。現地に赴き、彼らの生活を実際に感じながら、私たち仏教者が進むべき道とは何であろうかを、ともに話し合い、智慧をだしながら少しずつ生活を改善させ、他の仏教徒にも想いをよせ、祈り行動することです。一緒に呼吸を重ねることにより、仲間としての共有感を得られるのです。
 チベットに関しましては、二〇〇七年より、インド南部チベット人定住地にて連携を提案。同年十一月には、水撃ポンプ(電力を使わずに水をくみ上げるポンプ)の設置、翌年には「世界同時平和法要」を現地の僧侶と共に開催いたしました。
 二〇〇八年には、緊迫するチベット情勢に対して、緊急声明を発表。二〇一一年には、「日本仏教界より中国政府によるチベット僧院弾圧を非難する声明」に参加。
 チベットの現状を知っていただく活動としては、映画「チベットチベット」の上映、写真家・伊勢祥延「リトルチベット」写真集の発行、各種イベントでのチベット関連の書籍・DVDの販売や紹介などさせていただいております。特に二〇〇八年に発表した「リトルチベット」は、是非とも手にとって見ていただきたい写真集です。

 古里を思いながら、難民としてインド、ネパールなど周辺国で暮らすチベット人たちがいる。彼らが身を寄せる各地の「リトルチベット」を、札幌在住の著者が二〇〇四年から撮り続けた。アクセサリーを売ったり糸を紡いだりと日々の営みの傍ら、華やかな色合いの衣装での民族舞踊。レンズがとらえた人々の表情は、どれも生き生きとしている。一方で、中国政府からの自由を求めるポスターも。著者は「まず多くの人に問題を知ってもらうよう幅広い角度で撮影した」と語る。中国人民解放軍がチベットを制圧、ダライ・ラマ十四世がインドに亡命してから半世紀以上が経過した。難民は十三万人を越す。仏教の教えに基づき暴力を否定し差別のない社会を目指す、僧侶たちの世界規模の団体「四方僧伽」の活動に寄り添いながら撮り進めた。写真は、チベット亡命政府の旗を、誇らしげに手にする子どもたち。この笑顔を、古里の地で交し合う日はいつ訪れるのか。
北海道新聞(二〇一〇年八月一日)より

 私たちは仏教者として、一人の人間として、不条理な現況を変えるため、しっかりと繋がっていかなければいけないのです。
 今回同封させていただいている四方僧伽の二〇一五年チャリティーカレンダーは、最貧困国の一つとされているバングラデシュの写真で構成されています。厳しいながらも力強く生きていく彼らの表情をご覧いただきたい。部屋の片隅にでも一年間お供にしていただけたらありがたいです。スーパーサンガを始め、つながりのあるいろいろな団体のご紹介もさせていただいております。
 このカレンダーに寄せられた募金は、毎年様々な国で色々なプロジェクトに使われます。ご賛同いただけましたら幸いです。私もスーパーサンガの一会員として、チベットの現状を少しでも良き方向に進めるために努力する所存です。