スーパーサンガの幹事を務める飯島俊哲師より、昨年9月14日〜16日に開催された第5回『キキソソチベットまつり』の実施報告が届きました。

キキソソ2019

「キキソソー、ラーギャロー!」長野県の山中で人々の大声が響き渡ります。「キキ」が空飛ぶ鳥のように高い音を、「ソソ」が地を這うような低い音を表し、「ラーギャロー」は「神に勝利あれ!」を意味する。チベットでは神々を讃えるためにこの掛け声を発します。

昨年の9月14日(土)~16日(月)の3日間、チベットを知って学んで楽しむキャンプイベント〝キキソソチベットまつり〟が開催されました。

今回は海外からチベット人アーティストが多数参加し、よりチベット色の濃い回となりました。会場は3回目から引き続き小諸エコビレッジ。自然との共生による持続可能な暮らしの実現と、都市と農村の交流の拠点として、その実践と学びの場を提供しています。メイン会場はキャンプのできる広大な芝生広場。常設のゲルテントや体育館でも展示や催しが行われました。

祭りはチベットオペラとサークルダンスで幕が開きました。韓国を拠点に活動するチベット伝統音楽家カラッグ・ペンパが人々の輪の中でチベット伝統仮面舞踊タシ・ショルパを披露し始めると、会場にはあっという間にチベットの空気が満ち、その神々しい雰囲気に誰もが引き込まれていきました。この祭りには日本に住むチベット人たちも毎年大勢訪れていますが、日本社会の中で懸命に生きる彼らもこの日ばかりは日常背負う肩の荷を下ろし、チベット人らしさを全開にして楽しみます。チベット人たちの底抜けの明るさに引き込まれ、参加者たちも一緒になって歌い踊り、笑顔の渦がどんどん広がっていきます。これがキキソソチベットまつり最大の魅力の一つです。

 

2日目はキキソソではお馴染みのチベット人シンガー、テンジン・チョーギャル(オーストラリア)の演奏に合わせて、チベット書道家クンチョック・ツルティム(カナダ)がライブペインティングを披露し、満月の夜を盛り上げました。最終日には世界から注目を集めるエストニア在住のチベット人ヨギニ(女性在家修行者)でマントラ・シンガーのドゥルクモ・ジャルが特別出演。美しくパワフルなマントラの響きが会場を包みました。

今回も〝学び〟のプログラムが多数ありました。星泉先生(東京外国語大学)が前回大好評だった「チベットの怖くないおばけの話」続編をアニメーションと共に語ります。会場を元気に走り回る子供たちもこの時ばかりは熱心に聞き入っていました。爆笑トークが持ち味のチベット医・小川康さん。今年はチベット医学暦法大学在学中に撮影した貴重な映像と共に医学生たちの日常とチベット医学の奥深さを紹介。作家の渡辺一枝さんは写真展と合わせて、牧畜民社会の暮らしは私たちに何を示唆するのかという視点で、チベットの今について聴衆に語ります。クンチョック・シタル先生(ポタラ・カレッジ)のチベット式祈り方・五体投地と瞑想の指導もありました。漫画家・蔵西さんも初登場、チベット衣装の参加者をクロッキーの企画が大好評でした。そのほかにも個性豊かで魅力溢れる出店やワークショップが多数参加していました。

 

キキソソ2019 B

 

松本市在住のチベット人と日本人の夫婦が始めたこの〝キキソソチベットまつり〟は、多くの支援者の方々に支えられ開催しています。主要協賛団体であるスーパーサンガには、在日チベット人達から毎年感謝の言葉が多く寄せられています。主催者に代わり、ここに改めて深く御礼を申し上げます。

 

最後に、キキソソにとって最高の舞台を提供してくれていた小諸エコビレッジですが、残念ながら今年秋を以て運営団体が撤退し、所有元の東京都港区へ返却されることとなりました。エコビレッジへの感謝を胸に、次回のキキソソは心機一転新しい会場で開催予定です。ご期待ください。

 

スーパーサンガ幹事/飯島 俊哲