『風邪見鶏』書影

『風邪見鶏』書影

新型コロナウイルス・武漢肺炎の「春」(あえて武漢の呼称を使う…理由は後述する)がはじまって、コロナ禍の「夏」から「秋」へ。国や行政の不思議な対応、ともかく民衆を脅かし、大騒ぎを止めないマスメディア。どうも今回のコロナウイルスは中身も概要もその正体がはっきりしないのだが、間違いなく言えることは社会全体が、このコロナの感染拡大によって、機能不全に陥ろうとしている現実である。誰のせいなのか?

我らがスーパーサンガ(以下SS)の盟友・三宅善信氏の『風邪見鶏─人類はいかに伝染病と向き合ってきたか─』は、そんな今日の世界を予見したような玉著である。発売元は川端幸夫前SS事務局長の集広舎。まさにSSコンビによる刊行であるが、なんと今回のコロナ騒ぎのまる1年半前、昨年2月の発行なのであるから、驚愕すべき先見の明といえよう。

本書は「伝染病」を縦軸に、古今東西の文化や各種の今日的問題を考察したもので、単なる感染症の本ではない。ギルガメシュ、スサノオ、桃太郎、旧約聖書、午頭天王、ザビエル、蓮如、猿田彦・・・とページを追うごとに、三宅氏の豊富な知識と見識が縦横無尽に展開され、読みすすめるほどに興味が倍化していく。是非、一読をお勧めしたい。

「WHOをはじめ日本や欧米の感染症施設の多くが中国に対して『監視の目』を光らせているのは事実である。中華人民共和国当局も『不都合は真実』を隠そう隠そうとするので、このときのSARS禍の、国際社会からの発見が遅れ、これだけ被害を拡大させてしまった」と三宅氏はいう(本書第6章)。冒頭に武漢肺炎とあえて書いたのは、今回のコロナ禍もSARS禍同様、武漢での新型コロナ発生を中国政府が隠蔽したことに端を発している。その事実を後世に残していくことが必要だと思うからである。

わがSSが取り組むチベット問題だけではなく、いまの習近平中国共産党独裁体制はさまざまな災禍を世界中にもたらしている。改めてそこにも気づかせてくれる本書である。

評/田中 利典(金峯山寺長臈、スーパーサンガ幹事)

 

風邪見鶏
〜人類はいかに伝染病と向き合ってきたか

著:三宅 善信

集広舎、2019年2月8日刊、208ページ
ISBN 978-4-904213-67-4、本体1,200円+税

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